インド占星術とは

インド占星術とは古くからインドに伝わる占星術のことで、現在でもインドをはじめチベットやネパールなどで行われています。インドで生まれたという説もあれば、中国やギリシャで使われていたものがインドへ伝えられたという説など、その歴史は謎に包まれていますが、2世紀ごろにギリシャの占星術がインドに伝えられてからインド独自の発展を遂げて、現在のインド占星術として確立されたという説が有力です。

 

現在のインド占星術は、何を占うかによってパラーシャラ方式とジャイミニ方式との2種類に分類することができます。もともとはパラーシャラ方式が主流で、古典を元にしているので正統派的な地位を確立していますが、ジャイミニ方式は霊的なことや精神的なことを占う際によく使われる方式となっています。

 

インド占星術は西洋占星術と良く似た特徴をいくつも持っていますが、インド独自の特徴も持ち合わせています。例えば、占星術における宮は天体座標を12分割しますが、西洋占星術では春分点を基準にして30度ずつ12分割しているのに対し、インド占星術では特定の座標を元に12分割するため、季節によってずれが生じることはありません。ちなみに、地球の歳差運動によって起こる西洋占星術とのズレはアヤナムシャと呼ばれていて、占星術が確立された紀元後300年ごろにはズレはほとんどなく、ズレという概念もありませんでした。しかし地球の歳差運動によるずれは毎年確実に大きくなっていくため、現在では西洋占星術とインド占星術とでは24度ほどのずれとなっていると言われています。

 

また、西洋の占星術では太陽の位置や動きをとても重要視するという特徴がありますが、インド占星術の場合には太陽よりも月を重要視しているという特徴があります。ナクシャトラによって行動や性格の傾向を知ることができたり、満月に向かっている月なのか、それとも新月に向かっている月なのかによっても、占いの結果に大きな影響を及ぼします。月以外にもインド占星術では重要視されている要素が「ナクシャトラ」「ティティ」「ヨーガ」「ヴァーラ」「カラナ」と5つあり、合わせてパンチャーンガと呼ばれています。

 

インド占星術の概念は、もともとインドに伝わるヒンドゥー教の因果業法の教えに基づいていて、占いによる開運を行うことは、大きな効果があると信じられています。現在の自分が置かれている状況を把握するだけでなく、これからやってくる未来の運も良い方向に向けることができるのが、インド占星術の大きな魅力なのかもしれません。